これまでの仕事で成し遂げたことで思い出深いこと


これまでの仕事で様々なことを成し遂げてきたと思うのですが、中でも特に思い出深いことはなんですか?
EDUCE勝亦
EDUCE勝亦
新卒入社から10年働いていた大手楽器メーカーを退職し、専門学校立ち上げの責任者をしたことです。

当時私は、専門学校の存在すら知らなかったのですが、一念発起してトライしてよかったと思っています。県に設置の認可申請をしながら、校舎の設計や建設に関わりながら、学科構成を考え教職員を集めながら、中身がまるで整わない状況で学生募集もする……全てが初めてのことであり、次に何が必要になるか、どこまでやったら終わりなのかも想像できない。その上、これが正解という判断基準もない。その合間に、理想の専門学校を創り上げるために、これはと思った専門学校を訪問して教えを請う。嘘みたいなリアルな経験談です。1年後の開校時、学生は定員を3割オーバーし、強者ぞろいの教職員に囲まれていました。

この話には続きがあります。会社の創業から支えてくれる専務は、教員の中で最年少ながら開校時の教務主任。このブログのお題提供者であり、社長インタビューの記事を作ってくれるキャリアの専門家は、開校時の講師。二人との因縁は四半世紀、この出会いに恵まれなかったら今の私はなかったと断言できます。縁は異なもの味なものと言いますが、この二人実は大学の同級生。現在の所属や方法論は異なりますが、「良き友」だな、と端から見ているのも楽しいものです。

エクス抱
エクス抱
人の記憶はデフォルメされる。
苦しかったこと、悲しかったこと、大きな困難を乗り越えた時の達成感などは時間が経つほどデフォルメされて、実際よりも大きく感じてしまうものだ。

今回のお題を頂いた時に思い出したことは、徹夜続きの3か月で10日ほどしか帰宅できなかったプロジェクト、会社経営が傾きかけたリーマンショックや東日本大震災。最後の10分で大逆転させたギリギリのシステム開発など、本当に厳しい状況を打破して、仲間と喜びを分かち合った瞬間だった。

しかしそれは本当に仕事で成し遂げたことなのだろうかという疑問が付きまとう。
確かに自分にとって苦しい状況を打破して、一応の成功を導いたので満足感も高いのだが、冒頭に書いたように、記憶がデフォルメされている気がして、妙に成し遂げたという達成感に欠けるのだ。

冷静に考えてみれば、仕事や会社経営は小さなことの積み重ねであり、経験から学び、それを現在の行動や未来の計画に反映させてゆくことの繰り返しである。
故にしっかりと事前準備に取り組み、計画通りに事を進め、大過なく、プロジェクトを終了させ、お客様に少し感謝される。そこにはドラマチックなシーンも激動のシナリオもないが、プロとして仕事を完遂した満足感があるように思う。

企業はお客様に支持されなければ継続できない。
お客様のありがとうという言葉が会社の明日を作るのである。
それが計画通りで、地味なものであったとしても、派手なシナリオよりも真の達成感がある。
成し遂げるとは一見、平凡で退屈に見えるもの中にこそあるのではなかろうか。