Vol.2 株式会社 サブ・グリーン

株式会社 サブ・グリーン

http://www.sub-green.net

  • 社員の特徴を表すキーワード:どんどん意見を言い合う
  • 会社のビジョンを表すキーワード:喜びと感動の創造
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:強い想い、人との出会い・つながり

代表取締役 福本 涼駕 氏
プロフィール
甲南大学卒業後、2011年サブ・グリーン入社。2016年株式会社サブ・グリーンとなり代表取締役に就任。兵庫県を中心に地域密着型の人材サービス事業を展開。様々な仕事と人のマッチングの支援に奮闘中。

福本さんは、ゴルフエントリー仲介業として父親が創業した会社を引き継ぐ形で、2016年、株式会社サブ・グリーン法人化に合わせて代表取締役に就任。以後、ゴルフキャディ派遣業を基軸に事業を展開。現在「喜びと感動の創造」を旗印に、人(企業)と人(人材)をつなぐビジネスを幅広く展開しようとしている。人材派遣事業にかける福本さんの独自の想いをうかがった。

─ どんな想いで事業に取り組まれていますか

人を人として見て接し、伸ばす

人材派遣業ではありますが、想いは人を育てるというところにあります。仕事面だけではなくプライベートなことも含めて一人の人間が存在しているのですから、甘いかもしれないですが、一つの人格として受け止め、良い部分を認め伸ばしていきたいと考えています。また、そういう人の見方、接し方ができる管理職を育てていきたいと考えています。
ですから、始めからいい人材を採りたいと考えませんし、応募のあった人を切るという発想はありません。自社で育てるという覚悟を持って事業をしています。人の成長を見ることが仕事のやりがいですし、上手くいかなかった時には自分の能力不足を省みるように心がけています。

─ 具体的な事例を教えて下さい

仕事が気づきと成長の機会になっている

ゴルフ場へのキャディ派遣の例ですが、居酒屋やコンビニの店員さんと違い、仕事が分かりにくいので応募も少ないわけです。ですから、応募してきた方はとても貴重です。人を評価して採否を決めるのではなく、どのように育てれば良いかを考えます。
学生の場合はアルバイトですが、キャディという仕事は、数時間同じお客さんに接することになります。お客さんから、接客の様子をじっくり見られる立場になります。多くの指摘を受けることもあると同時に、感謝の言葉を掛けられることもあります。このような状況におかれることで、自然に、自分がお客さんに対して何ができるか、どれだけのことができるかという意識が芽生えてきます。相手の立場に立って何ができるかを考える姿勢は、ほとんどの職場で求められる社会人力と言えます。仕事に携わることと人が成長することの好循環をつくりたいです。

─ そのような想いを持ったきっかけは

父が反面教師になった

父は完璧主義で「ああせなあかん、こうせなあかん」というタイプでした。減点主義で物事をみる傾向がありました。私は、自分の人生をどこか、敷かれたレールの上を歩まなければならないという堅苦しさを感じていました。では自分は社員にどう関わりたいのか内省した時に、自分で何かを決められるということを大切したいと考えました。社員が、「こうやりたい、ああやりたい」と言える環境にしたいと思ったのです。仕事に対して、受動的なやらされ感ではなく能動的に取り組む姿勢を育てることが、この事業の肝だと考えるようになりました。
お金を稼ぐことはもちろん大切ですが、それ以上に、人が幸せになることを大切にしたいと考える素地になっていたと思います。

─ 起業当初のお話をうかがいたいのですが

成長し続けなくてはならないという気づき

私が23才の時に、「君と一緒に仕事をしたい」と友人を誘い、社員として迎え入れました。しばらくして、友人の将来を考えないまま採用してしまったことに気づきました。これから先の彼の将来を考えた時に、このままではいけない、事業としてステップアップしていかなければいけない、収入をあげていかなければいけない。まずは、自分がキャディの仕事を止めて管理職になる。次は、友人も管理職になって部下を持つ。さらに、その部下も将来的には管理職にと、どんどん昇格していく必要がありました。このような必要に迫られ頑張らなくてはいけない状況にあって、キャディ派遣事業に終わらせずに、人材派遣先の業種の幅を広げていこうとしています。人に携わる仕事をどこまで追求できるかの挑戦です。

─ 事業経営上の心がけについてあらためて

自分の器を大きくする、思う存分に取り組む

自分で何でもできるということは早い時期からあきらめていました。例えば仮に、人間を形作るパラメーターが5つあったとします。しかし、この5つが全部できる必要は無いのです。それぞれに強みを持った人が5人いたら良いと思うわけです。その5人が私の下で楽しく気持ち良く仕事をしてくれる、それぞれの力を発揮させられるような「器」を持ちたいと自分自身に発破をかけながらの毎日です。
ちょうど今、新規事業として工場派遣を始めたところです。いただいた依頼をカタチにするために、ここしばらく必死の想いでした。実現したいことがあって、それに向かって思う存分にやらせてもらっています。家族や社員に支えられているからこそ、できていると自覚しています。それに応えなくてはならない責任を感じながら、常に将来を見据え、事業を拡大し続けていきます。

─ 会社の雰囲気について

相手の想いを受けとめる

私が若いからかもしれませんが、社員から「社長こうしたいです」「こうすると良いと思います」と社交辞令抜きで言ってきてくれます。父の代の時とは大きな違いかもしれません。社員のこうしたいという想いや考えに対しては、事業的に明らかに赤字になる場合は別として、できるだけ汲み取りますし、社員の間で意見の食い違いがあればとことん議論して決めようという雰囲気があります。これはとても大切にしたい風土です。

─ どんな人材を求めていますか

想いを持った人、人のつながりを大切にする人

大きく2つのタイプがあります。1つは、こうしたいという強い想いを持っている人。私より強い想いや技術を持っている人でも、まったく構いません。もう1つは、人と人との出会いやつながりを大切にできる人です。一人が兼ね備えていれば申し分ないのですが、組織の中に両方のタイプが揃っていることが理想的だと考えています。あえて1つ付け加えれば、何かに秀でた人、特化した人です。
正直言いますと、選ぶ立場にはないと考えています。多様な人が集まって、組織として「いびつな」形になるのは覚悟しています。どう育てていくか、どうまとめ上げていくか、集まった人たちで何ができるかが勝負です。

─ 何を目指している会社なのでしょうか

喜びと感動を与え合う好循環を創る会社

お客様、派遣スタッフ、弊社の3者が、お互いに喜びや感動を与え合う場を創造する会社です。お客様には良い人材による喜び、働くスタッフには働く喜びや自己成長の感動の機会を提供しながら、喜びと感動を与える・受け取るという好循環サイクルをどんどん拡大していくイメージです。

─ 今の若い方達へのメッセージをお願いします

本音をさらけ出すこと、素直に受けとめること

本音で自分はこう思うと伝えること。そのことをしっかり聴いた上で諭してくれる相手は自分の成長の支えになります。自分の殻に閉じこもらないで、自分をさらけ出して、どんどん発信して欲しいと思います。
無鉄砲にさらけ出すというのはちょっと違うし、難しいでしょう。相手との関係をつくりながら、どうしたらさらけ出せるか考えながら、少しずつ自分の本音、素直な想いを出せるようなっていけると良いと思います。

インタビューを終えて
福本さんの言葉の一つひとつから、並々ならない優しさを感じました。どんな相手に対しても一面的に捉えたりせず、一つの人格として尊重し、未熟であっても成長を信じ、学びや気づきの機会を提供しようとする「教育観」が事業の根本にあるからだと思います。人材派遣業と言えばブラックなイメージがあるかもしれませんが、そんなイメージを一蹴するインタビューになりました。世の中には、サブ・グリーンのような会社もあるんだ、と声を大にして伝えたい思いです。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏