Vol.9 かねはら社会保険労務士事務所

かねはら社会保険労務士事務所

  • 社員の特徴を表すキーワード:互いを認め支え合う、共に成長
  • 会社のビジョンを表すキーワード:従業員と会社のエンゲージメント、人材育成
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:立場の違う相手同士を理解する力、自ら動く

社会保険労務士 金原 功治 氏
プロフィール
理系の大学院を卒業後、レストランのマネージャー、学習塾の講師を経て、平成24年社会保険労務士として開業。現在は100社ほどの関与先を持ち労務管理のお手伝いやアドバイスをしている。また関与先の従業員教育にも携わっている。趣味は食べ歩き。

金原さんは、学習塾の講師を経て現在社会保険労務士として活躍中です。支援の対象を個人から企業に発展させました。仕事では、社会保険労務士としての労務管理や社会保健に関する相談指導に留まらず、従業員教育にも力をいれています。仕事に対する思いや展望についてお伺いしました。

─ 社会保険労務士として開業にいたる経緯について教えて下さい

子どもから大人へ、個人から企業へ関心が移りました。

社会保険労務士(以後、社労士)になる前は、学習塾の講師として子どもたちに勉強を教えていたのですが、年を重ねる中で大人向けに何か教えられるような仕事に携わりたいと思うようになりました。もともと人と接したり物事を教えるのが好きな性格で、人の成長がうれしいのです。大人向けの支援ができる仕事について、例えばキャリアコンサルタントや産業カウンセラーなどの資格について調べている中で、社会保険労務士の仕事が向いていそうだと思い至りました。関わる対象を個人ではなく集団、つまり企業を対象に支援しようと決心し、35才の時に社労士資格を取得して開業しました。

─ 開業当時、ご苦労が多かったと思いますが

経営者のいる場所を見つけて、関係づくりから始めました。

確かに、それまでは人間関係といっても塾の子どもとその親御さんが中心でしたからつてがなく、すぐに仕事は見つけられませんでした。経営者との出会いがなくては始まりません。まずは経営者団体に入り、関係づくりのために積極的にいろいろな相談に応じながら徐々に信頼を得て、収入になるお仕事をいただけるようになりました。
仕事の依頼に対して、さらに一歩踏み込んで依頼内容以上の取り組みや提案を心がけることで、仕事が広がっていったと考えています。

─ 仕事に想いがありそうですね

仕事が充実する環境づくりがテーマです。

昨今、ワークライフバランスや働き方改革という言葉を良く聞きますが、ムードとして仕事に対して悪いイメージが強くなっていることに残念な思いがあります。ちょっと偏り過ぎている印象です。プライベートの生活も大切ですが、仕事ものびのびと充実していた方がいいですよね。社労士として、職業生活を楽しむことのできる環境づくりを手伝いたいという思いで仕事をしています。

─ 仕事を楽しむって簡単ではないですよね

ストレスは想いと行動の不一致が原因になります。

人は、自分の想いと行動が一致しない場合ストレスを感じます。それは仕事でも家庭でも同じで、一致していれば少々のことではへこたれずに頑張ることができます。前向きになれるように視点や考え方を変えるだけでストレスが軽減される場合が多いのです。個人や組織が前向きになれるような関わり方ができることに仕事のやりがいを感じます。私自身がぐちぐち考えるタイプだったからこそかもしれません。

─ 実際にどんな関わり方をされていますか

制度設計に従業員参加を提案しています。

労務に関わる制度設計をお手伝いすることがあります。その一例ですが、人事評価制度をつくる際、経営者には従業員の参加を提案します。人事評価について厚生労働省がガイドラインを示していますが、あくまでも目安です。実際には、業界によって企業によってそれぞれの状況があり、それに応じて個々に独自な評価制度が必要です。どのような評価制度であれば、従業員の皆さんが頑張れるのか、そして企業が発展していくのかが前提になくてはなりません。従業員の皆さんが制度設計に参加し、自分たちで考える事で納得いくものを作り上げられます。その会社にあった評価制度ができます。

─ 会社によって考えが分かれそうですし苦労もあると思いますが

従業員の納得が、会社の雰囲気を変えます。

提案を受け入れる会社とそうでない会社は、6:4から7:3です。じゃあやりましょうという会社が多いですね。
課題としては時間がかかります。実際現場の仕事も抱えながらですから、あまり深く考える余裕がなかったりしてスムーズには進むことはまれです。しかしながら、できあがった時には、その会社にあった、従業員目線が反映された形になります。その結果、現場の従業員からの提案が増えるなど、会社に
ああしようこうしようという前向きな雰囲気が出てきます。

─ 社労士に留まらない、その先を目指している印象ですね

従業員と企業の理想の形づくりを目指しています。

マネージメント研修の実施もしています。部下に対する上司の関わり方を学ぶ内容です。フワッした指示が原因なのに、なんでできないのって思っている管理職の方には、指示の出し方について具体的なレクチャーやロールプレイを実施します。現場では、教えることを学ぶ機会が少なくなっていると感じます。教えるスキルを、社内で順々に後進に伝えていけるようになるのが理想だと考えています。
当然ながら、社労士として社会保険関係の書類の作成や労務管理、就労状況など法律上問題がないかなどのチェックが主な仕事になります。ただ繰り返しになりますが、社員が活き活きと充実した仕事ができる環境をつくることで、企業としても発展していくことをお手伝いしたいというのが仕事への想いです。そういう理想の形づくりを企業のパートナーとして関わりたいと考えています。

─ 今後のビジョンはありますか

会社と従業員が同じ方向を向くことを、もっとお手伝いできるようになりたいです。

事務所として単に大きくなれば良いと思っていません。具体的なこんな形というのは申し上げられないのですが、あえて言えば、社労士にこだわっているのではなくて、社労士として企業に関わることで、その会社と従業員が同じ方向に向くことをお手伝いしているのだと考えています。そのためにできることがあれば、様々な提案もしていきますし、人材研修などの仕事もどんどん広げていけたらいいですね。

─ 採用のご予定はありますか? あればどんな方を希望しているか教えて下さい

資格の有無は問いません。一緒に成長できる関係を大切にしたいです。

今は一人です。限界もありますから雇用も考えています。資格の有無は問いません。企業の中に入って従業員と会社を繋ぐ仕事に興味のある方、従業員と会社どちらにとっても有益となる提案ができる方がいれば欲しいですね。
即戦力は難しくても、相手理解を大切にする方で、win-winの発想を持てる方であれば大丈夫です。人には得て不得手あります。できるところできないところをお互いに認めることが大切だと思います。できないことを責めるのではなくフォローできるような関係性を築きながら一緒に成長していきたいですね。

─ 最後に若い人たちへのメッセージをお願いします。

待たずに自分から行動しよう。

ありきたりで恐縮ですが、前向きといいますか、自分からこうしようと行動して欲しいと思います。待ちの姿勢ではなくて積極的な行動です。子供たちへの教育場面でも10を教えるよりも、自ら問題1つを解くことの方に価値かあると伝えてきました。今でも同じです。人生には辛い場面がたくさんあります。そんな時も自分で動き出すことができれば解決に繋がるはずです。

インタビューを終えて
金原さんとは2度目の面会でした。1度目の面会で感じた印象を確かめるようなインタビューになりました。それは社会保険労務士という肩書きに収まらない、人の成長に対して熱い思いのある方という印象です。それは経営者だけを見るのではなく、そこで働く従業員に対しての想いと姿勢に出ていました。個人の元気を引き出すことが組織の活性化と発展に繋がっていると考える私にとっても心強く感じられお話が聞けました。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏