Vol.10 株式会社 AZ

株式会社 AZ

http://www.azkk.co.jp

  • 社員の特徴を表すキーワード:リベラルアーツ、自律型人材
  • 会社のビジョンを表すキーワード:デジタルマーケティングのコンサルティング企業
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:レジリエンス、学び続ける力

代表取締役 藤堂 高義 氏
プロフィール
灘高校卒業後、立命館大学政策科学部に進学。大学時代よりITに関わる企業プロジェクトに多数関わる。卒業後すぐに株式会社AZを設立し、代表取締役に就任。顧客のデジタル広告の成果限界を追求している。

藤堂社長はITベンチャーの起業ブームの時代に大学生活を送っています。この時代の流れに敏感に呼応して、学生の時からITに触れ、卒業後すぐにWebサイト制作会社を設立、ITバブル崩壊の荒波も乗り越えて存続し、現在さらなる成長を着実にしています。何がそれを可能にしたのか、原動力や人材観、事業の展望について話しをうかがいました。

─ IT企業ということですが、業務内容を教えて下さい

インターネット広告の代理業とその上流工程のコンサルティングの2本が基軸

広告の代理業務はテレビ・ラジオCMや新聞・雑誌広告などの延長でなんとなくイメージがつくと思います。お客様である広告主に変わって、適切なメディアに広告作成し掲載する仕事です。インターネット広告の特筆性は、従来のメディアではできなかったことができる点にあります。例えばユーザーの興味関心に応じた広告の提示、ユーザーの購買行動の即時的な誘導や追跡、精度の高い費用対効果の測定、ターゲットユーザーに応じた掲載先の選択などです。その特質性が認知され市場は年々大きくなっています。
上流工程のコンサルティングというのは、これらのインターネット広告を活用した結果どうなればお客様のビジネスが成功したと言えるのか、どう活用すれば良いのか、目的目標設定から具体的方法までを各事業、商品サービス毎に子細に策定し、実際に運用した結果をもとに新たな戦略を立てて実施していくという、事業活動全体のPDCAサイクルにまで踏み込んだ相談サポート業務です。このようなコンサルティング業務はまだ市場は小さく、高度な専門性も要求される高付加価値のサービスです。弊社の得意とするところであり、売りにしています。

─ お忙しいそうですね。どちらも将来性があり拡大していくということですか。

もっと詳しい知識とノウハウを持った企業はないか。その高度なニーズに応えてきた

今は、週3日東京で、後は大阪で仕事をしているという状況です。IT業界の中でもかなりマニアックでニッチな部分に特化するように業務を絞り込んできました。高付加価値で顧客単価は大きいのですが、大きな予算が必要です。そのためコンサルティング業務のニーズは東京に偏ります。関西圏のお客様はどちらかと言えば、リーズナブルにすべてお任せという要望が多いという状況です。お客様の数は以前より減ったけれど、それ以上に顧客単価は大きくなっています。ただ、IT企業ですからどこかで飛躍的な成長をできると考えていますし、そのためには、もう少し中ぐらいのサービスを作ってお客様の数を増やしていく方向も視野に入れています。

─ 次の展開も視野に入れているのですね。もう少し教えていただけますか。

AIの活用による、さらに精度の高いマーケティングサービスを目指す

現在、AI活用も取り組み始めている大きなプロジェクトの1つです。優しく説明するのが難しいのですが、インターネット広告は、企業とユーザーとのコミュニケーションの形です。一方で結果としてビッグデータがあります。この2つを組み合わせ、AIを使って解析してマーケティングにつなげる新しい方法を開発しています。
例えば、ある会社がECサイトで商品を売っているとします。過去どういう頻度でどういう買い方をしている人が次ぎも買ってくれるのか、この価格帯の商品Aを買った人は次ぎに商品Bを買うとか、商品Cを買った人はその後リピーターになるよねとか、商品Dは凄く評判の良いけれどリピートはないよね、といった傾向を知るには膨大なデータを解析する必要があります。例えば10万件のデータを人が解析検証するのは現実的ではありません。これをAIに機械学習やディープラーニングさせるとそのような傾向を見つけられます。こうした解析結果を次のマーケティング戦略に活かすわけです。
今はまだ開発実験段階です。けれども、AIがこれだけ世間で騒がれている一方で、何に活用できるのか、どう活用すれば良いのかについてはまだまだこれからです。ですから可能性は大きく弊社の強みになるはずです。

─ 将来のビジョンについていかがですか。

デジタルマーケティングのコンサルティング会社として確立したい

漠とした言い方ですが、他人の見たことのない景色を見てみたいという想いが原動力かもしれません。小さな会社ですが、他社が取り組んでいないことに取り組みたいと思っています。加えて、違法サイトを裏から支えているネット広告ビジネスが話題になることも多く、業界イメージは良くありません。こうしたイメージを払拭するようなイノベーションを起こしたいという想いもあります。違法なことや不正が発生しない業界にしたい。
ビジネスとしては、広告代理業よりは、デジタルマーケティング※を得意とするコンサルティング会社として一目置かれる会社として確立したいと考えています。そのためにも選択と集中を先鋭化させながら、伸びている市場や分野に特化して仕事を展開していきたいと思います。

─ 少数精鋭の頭脳集団が、昼夜なく稼働している印象ですが。

残業は極力しない。自ら学び成長していく社内文化。

一段上のレベルでも戦えるように視点を高く持つこと、会社の就業環境をしっかり整備することを重視しています。就労規則も社員といっしょに全項目整えました。残業は極力しない、休日出勤はしないという意識もできあがっています。現在、社員は10名ですが全員合わせても、月間の残業時間は10時間を切っています。
その代わり、自律的な学びを大切にしています。仕組みとして、社員には月1回学びあいの場を持っています。社員は各自自由に学習テーマを設定します。会計や簿記、経営学などコンサルティング業務に役立つものでも良いし、歴史など仕事に役立つか分からないものでもかまいません。それをお互いに発表しチェックしあう機会です。この仕組み作りには理由があります。先ほどAIの話しをしましたが、なるべく大量のそして様々な分野のデータをAIに学習させることでアウトプットの精度が上がることが分かっています。AIは脳をモデルにしています。ですから人もそうではないかと推論しています。リベラルアーツ、教養があることが大切で、時間はかかっても最終到達点は高くなると自信を持って言えます。
そしてこの取り組みは、自分で仕事をマネージメントとし学び成長していく自律型の人材育成にもつながっています。

─ 求める人材像について教えて下さい。

レジリエンスと学び続ける力を持った人

端的には、勉強好きかどうかが大切です。常に新しい知識の獲得が求められる業界です。デジタルマーケティングの分野に興味をもって一人でどんどん勉強していただきたいというのが1つです。もうひとつレジリエンス(耐久力、復元力)が必要です。コンサルティング業務は、利益は大きいのですが何かミスがあった時の損失も大きい。仕事の責任の大きさに負けないレジリエンスがなければ続かないと思います。常に向上心をもって粘り強く学ぶ姿勢があれば、レジリエンスもついてくるのではないでしょうか。

─ 最後に若い人たちにメッセージをお願いします。

学生時代に自分の何を伸ばすのか意識する。徹底して取り組み、突き抜けろ。

人生の先輩として伝えることがあるすれば、「人生の時間はあまり長くない。やるのならなんでもやっておこう」ということでしょうか。成長につながらないバイトをただ漫然と続ける、勉強はしているけど突っ込んでしない、そうかといって派手に遊ぶわけでもない。そんな過ごし方は無駄な時間です。何かに突き抜けろ!と発破をかけたいです。
私は高校で落ちこぼれて浪人しています。しかも結果的に目指していた理系に進学できなくて、文系に進学しました。この時、普通に大学を過ごしたらダメだ、普通に就職したら追いつけないと考えました。そして、これだけは大学時代に鍛え上げようと心に決めたのが、プレゼン能力を鍛え上げることと人脈をつくることでした。これにつながりそうであれば何でもチャレンジした大学生活でした。今振り返れば、これが大学に入る時に自分自身の中に埋め込んだDNAだったのだと思います。自分に息づいています。皆さんも、自分の何を鍛え上げるのか意識して突き抜けるまでチャレンジして欲しいです。

※デジタルマーケティング:デジタル技術を使ったマーケティング手法全般を指す。WEBマーケティングはインターネット(オンライン)上で完結する手法を指すが、IoTやデジタルサイネージなどオフラインのデジタルデバイスも含めた包括的なマーケティング施策を行う。

インタビューを終えて
実は、藤堂社長とは創業前の学生時代から知っている間柄でもあり、学生向けのキャリアセミナーなどを依頼したこともある。今回の再会をとても楽しみにして臨んだのだが、インタビューをはじめてみると出会った頃とはまったく違う話しぶりに、正直驚いた。経営者として様々な判断、事業の選択や集中を繰り返す中で獲得された落ち着きなのかもしれない。インタビューの終盤に過去を振り返った時の自嘲気味な笑顔に、今も変わらぬ秘めた想いや信念、さらなる事業成長を確信できたことが嬉しかった。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏