Vol.21 株式会社グラント

株式会社グラント

http://www.grant.co.jp

  • 社員の特徴を表すキーワード:夢を実現するための仕事、メンバーの夢を認め応援する
  • 会社のビジョンを表すキーワード:豊かな小さめの会社、独自開発の「e投票」 は武器
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:夢を持った人、夢の実現に一生懸命な人

代表取締役 山崎 元彰 氏
プロフィール
近畿大学原子炉工学科卒業。電線メーカーで研究員、システム会社でSEを務めるも、サラリーマン経験は3年未満の理系自由人。1995年にグラントを創業しERPの上昇気流に乗る。その後システムインフラ部門の立ち上げに成功。
自社開発した「e投票」は、毎月ユーザー数を増やしている。沖縄本島~奄美大島までを漕いで渡った冒険野郎。

株式会社グラントは本社を大阪に置くIT企業で、ERP導入コンサルティングやシステムインフラ設計・構築を専門としています。高度な技術力を持った少数精鋭のエンジニアを売りに、顧客は中小企業から大企業まで幅広い取引があります。現在、独自開発の電子投票システム「e投票」の事業強化に注力していて、今後の大躍進が期待されています。山崎社長に起業から今後の事業展望、経営観など幅広くお伺いしました。

─ 起業の経緯ついて伺えますか。

成功を実現するために、高い技術力を誇る「豊かな、小さめの会社」を目指しました。

振り返れば高校時代、アメリカに留学した時に見た成功者の姿と、その頃に出会ったジョセフ・マーフィー博士の本が大きな影響を与えています。現実に見る成功者の姿は脳裏に焼き付き、成功の実現に必要な潜在意識の活かし方を実践しました。当然、今も私の思考回路の中枢となっています。
大学では原子炉工学を学び、研究員やシステムエンジニアとして働きましたが、サラリーマン経験は3年未満です。そこには少なくとも私が求める成功の姿を見通す事ができなかった。退職後、洗剤を売る訪問販売で3年間生計を維持しました。その最初の3カ月間でも、サラリーマン時代の3年を凌ぐもの凄い経験をしましたね。最後の1年はシステムの夜間オペレーターもやっていましたから、まぎれもない24時間勤務です。学びの時間として、濃密で自分を育ててくれた楽しくそして辛くもある貴重な時間だったと思います。その後システム業界に戻り、組織化を意識しながらフリーエンジニアとして働きました。1995年ERPの波が日本に渡ってきたとき、その時を逃すまいとERP専門企業としてたった一人で起業し一期目から黒字経営を続けました。経営者としては、会社を大きくすることよりも、「豊かな、小さめの会社」をビジョンとして掲げ、エンジニアとして面白い仕事をしたい思いから、少数精鋭で高い技術力を売りにしてきました。現在社員は40名です。今後は100名の幸せな社員が集う環境を作りたいと思っています。ただし、100名が1000名になる、そういうネタは仕込み済みですので、大化けに対する心と体の準備は万全です。

─ 事業概要を教えてください。

ERPシステム導入とシステムインフラの設計・構築が主業務です。

ERPというのは、エンタープライズ・リソース・プランニングの頭文字をとったものです。創業した1995年当時、まだERPを導入している企業はほとんどなく、生産、販売、在庫、購買、会計、人事のそれぞれの部門で異なる管理システムを運用していました。ERPは、これら各部門で独立していたシステムをひとつの考え方に統合し、情報を一元管理することで業績の把握や意思決定を効率化する究極の仕組みです。この考え方は、基幹システムのあるべき姿であり、現在でもこれに勝る考え方はありません。当時、ERPを専門にすることにより、各上場企業との直接取引を頂いた優位性は現在も継続中です。
システムの進化に伴い、データ量、システム負荷、運用負荷も増大の傾向にありサーバーの安定稼動の実現は重要なテーマです。システムインフラの設計・構築を行う専門部門を立ち上げ事業の2本柱になります。あとは選挙や総会で電子投票「e投票」ですね。

─ 「e投票」についてもう少し伺えますか。

独自開発の電子投票システム「e投票」は毎月導入件数を更新しています。爆発間近?

以前、私はマンションの理事長をしていたことがありました。理事会、そして総会という行事では過半数又は3/4などの賛成票により議案が可決します。つまり、そもそも投票率が低いと何も決められないという事になり、意思表示の催促や紙の回収と言った事務作業は膨大で、無償で働く理事には大きな負担がかかります。これらの意思表示をスマホで行う事ができれば、問題のほとんどが解決します。この仕組みを私の経験による要件定義と社内での独自開発で作り上げたのが「e投票」です。「e投票」は、各種総会の出欠連絡、委任、議決権行使、総会受付、会場での意思表示、アンケート機能などを基本とした、運営側にもユーザーにも非常に使いやすく設計されたシステムです。現在、多くのお客様に採用され、マンション向け以外にも労働組合、学術学会、株主総会、政治政党、地方自治体のそれぞれに向けた電子投票システムを用意しています。ご採用頂いている労働組合の会社名を羅列すると、びっくりするような大企業がずらりと並んでいます。運用面での成熟度では、公職選挙に適用できる投票システムの最前線に位置しています。よく問題になる個人認証の方式には、マイナンバーカードでの認証、顔認証、指紋認証などが言われていますが、それらは「e投票」という基幹システムのオプションでしかありません。また、「e投票」を自治体で活用する場合、選挙に匹敵する精度の住民アンケートが可能になります。党利党略でもめる議会に、役所が住民の意見を突き付ける。そんな時代はもうすぐそこに来ているのかもしれません。大きな展開が期待できる、グラントの武器です。

─ どんな社風でしょうか。

お互いの夢を認め、協力して実現しようという雰囲気があります。

グラントという社名には、認める、承諾するっていう意味があり、データベースにも使われるコマンドの一つです。ここに集まってきたメンバーの一人ひとりの夢を認め、お互いにアドバイスできたり協力できたりする。夢が実現すれば、会社も嬉しいし、あなたも嬉しい。そういう想いが籠められています。夢は具体的な計画と実行が伴えば、実現します。夢が大きいならば、具体的な計画を作るお手伝いをします。新しい技術やマネージメントスキルが必要であれば、セミナーを用意します。達成できるかどうかは自分の夢が真剣かどうか次第ですが、夢を摘むことはしません。実は、こういう考えを持つ会社と出会うことは、なかなかないのではないかと自負しています。

─ どんな人材像を求めていますか。

夢の実現のために共に同じ方向を向いて、頑張れる人です。

これまでは技術力に自信があるちょっと尖った人材を採用し、高い技術力を売りに少数精鋭でやってきました。しかしながら、これからの会社のあり方を展望した時には変えていかなくてはなりません。メンバー全員が一つの方向を向いてがんばり、大きく飛躍していかなければならない局面に来ていると感じています。新卒採用もこれから積極的に進めていきます。
話は変わりますが、幼少時代は体が弱かったのですが、私はアウトドアスポーツが好きです。今では信じられませんが、39歳までデブでした。40歳までに苦手なことを克服したい。そんな思いでキリマンジャロに登頂。その後、外洋を漕ぎ進むシーカヤックにのめり込みました。沖縄本島から奄美大島まで渡った実績もあります。沖縄サバニという伝統的な木造船を再建し、年に一度の座間味島~沖縄本島までのレースにも4年間出場し、そのうち2度は艇長を務めました。サバニは数名のクルーを乗せて、風を帆で受け止め、エイクで漕ぎ進む船です。サバニは力任せに漕いでも大きな推進力は得られません。僕ら男達が現地の女性チームにあっさりと抜かれるそんな経験もしています。クルー全員がバランスのいい着座位置につき、エイクが同時入ると、サバニは驚くほど加速します。出発前の作戦会議では激論を交わすこともあります。しかし、最終的に取り決められた作戦を遂行するためには、クルーは確実に役割を実行する必要があります。船の状態、海図、潮汐表、天気図、クルーの進言など、その全てを艇長が把握すると、サバニは安全にそして早く目的地にたどり着けます。外洋の途中であきらめる事は許されません。チームには、こんなルールがありました。
「和を持って尊し、烏合は恥と知るべし」「論は尽くせ、決定は遵守せよ」
話を戻してまとめますと、実現したい夢を持った人、議論を尽くし計画ができたなら、一致団結できる人を採用したいと考えています。採用したらその人の人生を預かることになりますし、ご自身の夢についてじっくりお伺いしたい。採用試験としては適正試験と時間をかけた面談を実施しています。理系文系、男性女性は問いません。

─ 最後に学生へのエールをお願いします。

RPGの主人公になったつもりで能力を高めていけばいい。達成感があって楽しくなる。

何のために勉強するのか考えないまま、単位の取得のために機械的にやらされているとしたら、その勉強はつまらなくなります。働くことも同じです。なんのために働くのか分からないままだと苦役になります。社会に出て手に入れたいものがある、見たい景色がある、もっと見なくてはいけない世界があると思えるかどうかは、豊かな人生を生きられるかどうかとつながっています。
ロールプレインクゲームに夢中になったことはあるでしょう。主人公になって経験を積みながら、知力や体力、武器や魔法のゲージを上げていきますよね。最初は雑魚キャラを相手に戦ってゲージを増やし、徐々にボスキャラを倒す力を身につけていく。仲間を増やして協力したり、様々な謎を解いたりしながら、大きな試練を乗り越えていくストーリーには達成感があったと思います。
何かにチャレンジしながら能力を高め、さらなる難関を乗り越えていくのは本来楽しいことです。先にある目標や夢を見据えて、これやって1個手に入れた、この経験で1個得したと思える能力のパラメーターを設定して自分の能力を高めていくという見方ができたら、勉強も仕事も楽しくなるのではないでしょうか。それと、人生は常に映画のワンシーン。笑顔で前向きに生きるあなたに、あなたを応援するファンはくぎ付けになりますが、いつまでもくよくよと下を向く姿には、だれも共感してくれないでしょう。それが理解できれば、あなたの日常が変化していくことでしょう。

インタビューを終えて

山崎社長からあふれ出るエネルギーに圧倒されました。昔は、身体が弱かったという話には耳を疑いました。人生を隅から隅まで思う存分に謳歌している。ワークとライフを分けるのではなく、オンとオフというのも何か違う、オフでも挑戦、オンでも挑戦、どちらもとことん楽しみ、だから学びがあって、その学びは環流していました。実現したい夢、見てみたい景色、チャレンジしたいことがあれば、人間はどこまでもパワフルになれるのではないでしょうか。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏