Vol.1 株式会社キャリアデザインセンター
株式会社キャリアデザインセンター
- 人事部のビジョン・ミッションを表すキーワード:いい仕事、いい人生
- 人材育成に関するキーワード:段階的・階層別研修、仕事は誰のため?何のため?、自分のベクトルを持つ
- 求める人材像に期待するキーワード:求める人材像は毎年更新、あえて実力主義、主体的な取組みの経験、誠実が1番
- 学生へのメッセージ:自分の人生のため就職活動、やりたいと思ったことはやってみる
取締役 経営企画局長 兼 採用推進部長 西山 裕 氏
(株)キャリアデザインセンター(以下CDC)は、企業と個人をマッチングする一部上場の人材サービス企業です。転職サイト・適職フェア・人材紹介・IT派遣・新卒採用支援など多種多様なサービスを展開し、中でも「エンジニア」「女性」「キャリア志向の高い人材」をターゲットにした人材サービスを売りにしています。採用推進部長に、人材のビジョン・ミッション、人材育成・求める人材像について考えを伺いました。
□ビジョン・ミッションについて
一人ひとりにどう活躍してもらうか、個人の成長と合わせて考えています。
採用から、転職あるいは定年までいかにサポートするか、気持ち良く働いてもらって会社のために活躍し貢献いただけように考えています。会社と同じ方向を向きながら、自分の成長にどうつなげていくかを重視しています。
採用では会社の表も裏も包み隠さない、口説かないようにしています。
採用では入社希望者に対して包み隠さないということを大切しています。優秀な学生が欲しいと考えると採用そのものが目的化してしまいがちです。問題は入社後に活躍していただくことです。ですから、入社希望者に対しては会社の良い部分も悪い部分もオープンにする、現場の社員にも感じていること考えていること、不満であってもかまわないので率直に話すように伝えています。それらを知った上で入社を判断していただきます。欲しいなという学生がいたとしても、飲み会を開くなどの囲い込みや口説き落しはしません。口説かれて来たのではなく、自分の意思でこの会社で活躍したいから選択したという主体性、自律性を大切にしたいと考えます。
「いい仕事、いい人生」が企業理念です。
仕事ってお金を稼ぐための手段だけではないと思います。人生の主役は自分なので、その人生を豊かにするために仕事があるよね、というのがメッセージです。社員もこの理念にとても共感してくれていますし、実践もしてくれています。このメッセージは、社員だけでなく、お客様やクライアント企業様に対しても発信している私達の仕事に対する考え方です。
□人材育成について
段階的・階層別に研修を行っています。
新入社員に対しては、4月から5月は座学やロールプレイでの新人研修に参加します。そして6月には皆、現場に出ます。現場で悩んだり困ったりする経験から人は学んでいくと考えています。野球で言えば、練習ばかりしていても実力はつきません。試合でバッターボックスに立つことが大切で、上手くいかないことを乗り越えていくプロセスが必要です。OJTで先輩からサポートを受けながら実践を通して成長します。
次ぎに2年目研修があります。1年間の仕事を360度評価を参考に、自分の強味や弱みを確認します。そして、新入社員に対してはメンターとなるための研修を受けます。入社5年目には、メンターからチーフ、そして主任になっていきます。リーダーとしてどういう振る舞いをしなければならなのかを学びます。その後は、課長研修、部長研修など階層別研修が用意されています。
誰のための仕事なのか。何のための仕事なのか。
常々社員に問いかけるのですが、誰のための仕事かと言えば、お金をいただいているお客様やクライアント企業様のためです。社会に対してどれだけの価値を返すことができるのかというのが仕事における1番大事なミッションです。一方で、何のための仕事かと言えば、自分自身のためなんです。人によっては車が好きだから車のために仕事をする、いずれいいお母さんになりたいからそのために頑張って仕事するっていう考えを持っていることはとても良いことです。私自身も将来フリースクールを設立したいという夢があります。会社の向いている方向に合わせることと、社員の個々人が自分の方向性を持つことは、両立できますし、自立するということとつながっていると考えています。
会社と社員のベクトルを合わせること。自分のベクトルを持つこと。
私が入社した2005年時点で80名程度だった社員数は、2018年現在650名程に増えています。その分、コミュニケーションの量や質も変化してきています。私達はなんのために会社をしているのか、会社がこれからどこに向かおうとしているのかについて、常に社員にオープンに伝えるように注力しています。若手はチャレンジ精神旺盛で新規事業をやりたいという想いを持っている方も少なくありません。一方で、すぐに会社として取り組めるかといえば慎重にならざるを得ません。この場合対立的になるのは社員にとっても会社にとってもメリットはありません。弊社では、中長期のこれからを社員全員にオープンにすることで、社員一人ひとりが自分の会社へのコミットの仕方を主体的に考えられるようにしています。自分自身の存在意義を考えるきっかけになると思います。
□求める人材像について
毎年社員にインタビューを実施して、求める人材像を更新しています。
社会環境はもちろん、会社のフェーズ、提供サービスの内容は変化しています。活躍できる人材と求められる人材像はそれに応じて変わっていきます。ですから弊社では、毎年、各事業の責任者から新入社員までインタビューを実施しています。今、お客様がどういうことを求められているのか、それに対して競合他社の状況がどうなっているか、弊社の状況はどうなのか、ポジショニングはどうすれば良いのか、どの方向性に向かえば良いのかを検討しています。そうした検討を踏まえて求める人物像を具体化しています。
あえて実力主義ですと伝えています。
仕事では最終的に成果が求められます。ビジネスはスポーツと一緒で、仲間と協力したり、切磋琢磨したりして一生懸命頑張って成果を出さなくてはいけません。その成果は社会への貢献につながっています。また、弊社のサービスは、社員一人ひとりに対するお客様からの信頼が頼りです。その意味で、あえて実力主義ですと言い切ることもあります。
学生時代の成果をそのまま鵜呑みにしません。
仮に、甲子園で優勝したことのある学生と地方予選で敗退してしまった学生のどちらを選ぶか考えてみましょう。成果だけ見れば優勝した学生を選ぶでしょう。しかしながら、監督に言われる通りに苦しい練習をガマンしてやり続けた結果の優勝だった。逆に、自分たちで課題を発見し練習メニューを考えながら主体的に取り組んだ結果、残念ながら甲子園に出られなかった。もしそうだとしたら、弊社では自分で考えて行動してきた経験を買いたいと思いますし、弊社に合うのではないかと考えます。ですから、学歴も、大学卒の方、高校卒の方、専門学校卒の方関係なく平等公平に判断します。
1番大切にしているのは誠実さです。
人間には100点満点の人はいないと思います。普通より自分を良く見せるだとか、知ったかぶりをしない、自然体でオープンな姿勢の方を大切にしたいと考えています。このことは全ての面接官で共通認識としています。
□学生へのエール
自分の人生のための就職活動にしよう。自分の選んだ道を正解にできる。
最近の学生は安定志向だと指摘する方も多いのですが、私はそうは思いません。それよりは、自分にとっての安定ってなんだろうって、無理をせず力を発揮できる仕事、自分らしく活躍できる環境を突き詰めて考えることが大切です。それができる人は自律的に仕事ができる人です。周囲の意見に合わせたり振り回されたりせずに、自分の人生のための就職活動だと捉えて取り組むことが、自分の選んだ道を正解にできる手段ではないでしょうか。
やりたいと思ったことをやらない選択は、しない方がいい。
学生時代には様々なことに挑戦して、どれくらい失敗を経験できるかが大切だと思います。若いときの失敗の経験の幅や深さが、ゆくゆくは他人の気持ちを理解したり、相手に寄り添うことができたり、叱咤激励ができることにつながると思います。人から白い目で見られることもあるかもしれません。それでも怖いという気持ちよりも、やりたいと思ったことを優先した方がいいよと人生の先輩として伝えたいです。
発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏