Vol.10 大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社
- 会社の特徴・社風を表すキーワード:人・街・暮らしの価値共創、創業精神「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」
- 人材育成に関するキーワード:働きがいの最大化、一人の新人に一人の先輩社員が寄り添う
- 求める人材像に期待するキーワード:貢献意欲、成長意欲
- 学生へのエール:勉学と幅広い経験、チャレンジ精神、起業家精神
東京本社 人事部長 菊岡 大輔 氏
大和ハウス工業株式会社は、大和ハウスグループに属し、建設業界ナンバーワンの業績を誇る大企業です。創業は1955年の創業者の出身地である奈良県の旧国名「大和(ヤマト)」に由来します。「大いなる和をもって経営に当たりたい」という創業の精神は、現在の企業理念や経営ビジョンに受け継がれ、「エンドレスハート」と名づけられたシンボルマークに、「共に創る。共に生きる。」というグループの企業理念に表れています。今回は、菊岡人事部長に、会社の特徴、人材育成や求める人材像についてお話を伺いました。
会社の特徴・社風について
土地と建物に関わるあらゆることを扱っています。
弊社は戸建ての住宅メーカーというイメージが強いかもしれませんが、デベロッパーでもありゼネコンでもあります。土地と建物に関わるあらゆることを扱っていると捉えてください。グループ企業まで含めれば、都市開発や発電所などの社会インフラに関わる事業から、老人ホームやフィットネスクラブ、ホームセンター、ホテルの経営まで多岐に渡ります。この幅広い事業領域を支えているのが、「人・街・暮らしの価値共創グループ」であるという考えであり、お客様と共に人が豊かに生きる社会の実現を目指していこうというグループ全体の経営ビジョンです。
「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という想いが根づいています。
社風を言えば、創業の精神をとても大切にしている会社であると自負しています。社員教育でも創業精神の継承を重視しており、ひとりひとりがその想いを胸に秘めて日々働いています。その根底には、「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」、という創業以来引き継がれている想いがあります。例えば、創業者の代表的な言葉に「スピードは最大のサービスである」というポリシーがあります。これは、世の中のニーズに迅速に応えていくことが社会貢献につながるというもので、会社のDNAとして刷り込まれています。実際に、取引先様から仕事のスピードを評価いただくことも多く、弊社に転職されてきた方はスピード感にビックリされるほどです。
人材育成や人事部のミッションについて
新入社員一人にメンター役の先輩社員が一人、じっくり付き添い成長を支えます。
弊社には様々な教育制度や研修プログラムが用意されています。コロナ禍にあっては、オンラインの教育プログラムも充実させています。一方で、1番大切にしているのがOJTです。新入社員一人に、社内で「OJTエルダー」と名づけられた、メンター役を務められる30歳前後の先輩社員を必ず一人配置します。営業であれば2年間社員の成長にじっくり寄り添います。当然、OJTエルダーに対してのメンター教育を行うと共に、OJTエルダーを中心に、職場全体を巻き込んで新入社員全員をしっかり育てる体制を用意しています。非常に手厚く安心して成長していける環境だと考えています。
働きがいを最大化し、成長実感を感じられる職場づくりを目指しています。
人事部のMISSIONは社員の働きがいを最大化することだと考えています。日本で1番働きがいを感じられる会社として、人材育成から組織開発、社風づくりを行っています。そして、働きがいの1番の源泉は、企業理念やビジョンにどれだけ共感しているか、その目的に沿った仕事ができているかだと考えています。例えば立派な寮に住めるなどの福利厚生の充実だけでは社員に働きがいは感じてもらえません。人間関係が良好で風通しが良く、仕事を通じた成長実感を感じられるように、教育制度や評価制度など公平で納得感の得られる仕組みづくりを行っています。
求める人材像や採用について
求める人材でベースとなるのは社会貢献意欲と成長意欲です。
絶対的な条件として2つあります。一つは、社会を良くしたい、世の中の役に立ちたいという志です。もう一つは成長意欲を持っていることです。この二つは必ず持っていて欲しい。スキルの部分に関して言えば、異なる強みを持っている人が社内に混在していて多様性があるというのが理想だと考えています。例えば、経営戦略部門では、データ分析に基づいた戦略の立案ができる冷静な頭脳と熱いハートを高い次元で両立している人を要件にしていますが、グループ全体では、実に様々な職種や事業がありますので、それぞれに応じたスキルや適正を求めています。一方で、出身大学にこだわりはありません。弊社の人材要件に見合ったものを持っていれば、大学の偏差値に関係なく幅広く採用しています。
多様な人材をJOB型採用で募集しています。
弊社では、今年度よりメンバーシップ型採用からJOB型採用に変えました。配属については応募者の希望を聞き、仕事の内容を確約する形での採用になります。ですから、最終的には応募者ひとりひとりに対して、明確な仕事観、携わる仕事内容の絞り込みを求めています。つまり、どんな分野でどんな仕事をしたいのか、どんな仕事にやりがいを発見したのか明確でなければなりません。
一方で、入口では多様な人材を募集しています。理系文系に関係なく、どこかに自分の働きがいを見つけられる事業領域が弊社グループには必ずあると自負しています。建設業界が第1志望でない方、例えば金融や商社に興味があって勉強もしてきたという方も歓迎しています。なぜなら、弊社が扱う街づくりや土地活用のビジネスは年々、複雑化・複合化しており、金融の仕組みを利用するなど様々なスキームを組み合わせて事業を創り出すことが求められるからです。
もちろん、特定のジョブでいったん経験を積んだ後に、別のジョブに興味ややりがいを発見したという様な場合、自ら手を挙げてチャレンジできる制度・仕組みも導入しています。
学生へのエール
第1は勉学。プラスして人間力を磨いておこう。
学生の本分は勉強だと考えていますから、第一に自ら志した学部学科でしっかり勉強して欲しいと思います。それにプラスする形で、人間力を磨き教養(リベラルアーツ)を身につけて欲しいです。いろいろな人と接する、たくさんの本を読む、海外旅行でも良いです。バイトやサークルに打ち込むなど様々に幅広い経験をし、視野を広げください。社会に出れば、複雑で多様なビジネス環境で仕事をしていくことになります。色々な見方や考え方を知っておくことは将来必ず役に立ちます。
チャレンジ精神、起業家精神を大切にしてください。
弊社では、若い時から様々な仕事にチャレンジできるチャンスを提供し、早い段階で責任ある仕事を任せています。積極的な気持ちでチャレンジすることを高く評価し、失敗しても再チャレンジすることに価値をおいています。結果的に成長速度がとても速くなるという環境を実現していると実感しています。このような環境作りを大切にしているのは弊社だけではないでしょう。これからの時代は、言われたことをやるだけの人材、人にレールを引いてもらえないと動けない人材は、ますます肩身が狭くなっていくのではないでしょうか。勇気を持って飛び込むチャレンジ精神を大切にしてください。
発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏