Vol.3 株式会社LEOC

株式会社LEOC

https://www.leoc-j.com

  • 人事部のビジョン・ミッションを表すキーワード:採用、育成、定着、社会に不可欠な人材を確保する
  • 人材育成に関するキーワード:自らの気づきを大切にする、社員のキャリア自立を支援する
  • 求める人材像に期待するキーワード:コミュニケーション能力、誰かのために何ができるか考えられる
  • 学生へのメッセージ:やらなかった後悔よりもした後悔、自分を肯定的に受け入れる

人財育成企画本部 人財育成部 執行役員  久保 博義 氏

株式会社LEOCは東京都に本社を置くコントラクトフードサービス会社で、病院や社会福祉施設、企業の社員食堂、学校などにフードサービスを提供しています。サービス提供エリアは、北海道から沖縄まで全国2,200箇所以上にのぼります。久保人事部長に、人材育成部のビジョン・ミッション、人材育成・求める人材像についてお考えを伺いました。

□ビジョン・ミッションについて

人口減少化社会において、社会に不可欠な人材の採用と育成が使命です。

1つのミッションとしては採用があります。今年の新入社員は全国で540名ぐらい採用しています。総合職が約30名、ほとんどが調理師、管理栄養士、栄養士などの専門職です。結果的に女性の割合が多くなっています。専門学校だけでなく、食物栄養学科や健康学科などの出身者を中心に4年生大学からも採用しています。さらに来年は1000人規模の採用を予定しています。
一方で、人手不足の時代で求人倍率が上がっていること、B to Bの会社で一般に認知度が低いこともあり、社員の採用には苦労しています。現在弊社の営業拠点は全国で2200ほどありまして、ニーズの高まりを受けて毎年100ずつ増やしていこうと考えています。ですから、外国人採用の強化も含め、経営に必要な人材を確保していくというのが1つ目です。
次ぎに、採用した人材をいかに育成していくか、いかに定着化を図るかというのが2つ目のミッションです。
補足になりますが、グループ会社で学校事業や人材事業も行っています。学校事業は、国内に日本語学校、海外はベトナムを中心に、主に留学生向けに日本語や日本文化を学ぶ学校を開校しています。将来的に、弊社の従業員としての活躍も期待しています。人材事業では、主にベトナム人を専門スタッフとして介護福祉施設などへ紹介しています。こうしたグループ企業との連携を通して、給食事業もさらに海外の企業向けに展開を図っています。
人口減少化社会、人材難の時代において、社会に不可欠な人材を確保し育成するために様々な取り組みをしているとご理解ください。

□人材育成について

新入社員向けの研修制度と、全従業員が受講できるカフェテリア型研修制度があります。

レオック大学という研修制度を持っています。職種に応じた2年あるいは3年間研修制度で、新入社員は皆、月1や隔月などの頻度で受講することになっています。一方で、中途採用の方やパート社員の方向けのカフェテリア型研修も今年から実施しています。様々な研修メニューを用意して、従業員が誰でも受けられる仕組みを全国で始めたところです。
例えば、栄養士であればメニューを考える講座であったり、調理師であれば、これまで和食専門だった方が洋食を学んだり、スイーツを学んだりできます。中途で採用された社員にも参加いただけます。例えば、自分のキャリアに合わせて、コミュニケーションが学べる講座に参加することも可能です。受講希望者が、自発的に受けられるメニューを用意しています。しかも、給与をもらいながら全従業員、パート社員であっても受講できる研修制度は他にないのではないでしょうか。
大切にしているのは、学んで欲しいのではなく学びたいという社員の気持ちを汲むための取り組みであり、社員のキャリア自立を支援するという姿勢です。人材発掘の機会としても捉えています。従業員は全国で17000人くらいになります。これまでに200名の方が受講しているのですが、今年はじめたばかりの研修制度なので、今は従業員からリクエストを受け付けたり、受講後のヒヤリングでニーズを聴いたりしながら、改善や拡大を図っていこうとしています。

あくまでも支援、教えるというのではなくコーチング型に拘っています。

新入社員研修というと、社外では挨拶はこうしなさい、上司に対する接し方はこうです、報連相はこうするものですといった内容が想像できると思いますが、そのような研修は、結果的に、教えられたからやる、言われたからするという態度につながり、本人主体の行動の継続には繋がりにくいと考えています。つい、できていない社員には教えたくなるものですが、それでは本人自身の気づきにはならないのです。自分で気づき、自分で決めたことでないと、その人の行動は継続しないのです。
もちろん、名刺交換の仕方や電話対応の仕方など、すぐに身につけた方が良いことは体験型トレーニングで実施します。ただ、人材育成で大切なのは、5年後10年後を見据えた取り組みであり、そのために本人自身の考えを尊重したキャリア形成やキャリア自立を支援するという姿勢はゆずれないと考えています。まずは一人ひとりの従業員の成長を支援するのが企業であり、教育部門の使命だと考えています。特に、入社1年目は、社会人として仕事環境に順応するのが難しくて悩む方も少なくないので、しっかりケアを図ってまいります。

□求める人材像について

コミュニケーション力と気遣いができる人。

理想としては自発的、主体的に行動できる方です。ただ、すぐに求められるものでもないと考えています。また、将来の夢やビジョンが明確になっていなくても、ある程度やりたいことの見通しがあれば大丈夫です。入社してから、しっかり身につけたり、発見していけば良いと考えているからです。
弊社の場合、仮に総合職であれば、将来的に営業やエリアマネージャーとして、50代以上の管理職のお客様と接する必要がでてきます。自分より年上の方とのコミュニケーションや相手に対する気づかいができる方を望みます。契約を取ればそれで終りではありません。その先々、お客様に何を提供すれば喜んでいただけるのか常に考えられるようになることを研修でも大切にしています。自分だったら相手から何をしてもらったら、どうしてもらったら嬉しいのか見つめることからです。

誰かのために何かができる、とにかくやってみようという気持ち。

次ぎに失敗してもやってみようする行動力がある方が向いている仕事だと思います。ただ、仕事に就いてみないと分からない部分ですが、行動的で明るいことがお客様うけするとは限らない場合もあります。人見知りで人前で話すことが苦手であっても、お客様に対する細やかな気遣いができてとても高い評価をいただける社員も多くいます。誰かのために何かができる、とにかくやってみるという気持ちが大事です。

□学生へのエール

やらなかった後悔よりも、した後悔。将来、自分らしく働けるようになるために。

私も慎重派なので、好き嫌いとか苦手意識があることにはなかなか踏み出せないことがあります。でも、「やらなかった後悔よりも、した後悔」とよく言われる通り、やってみないと分からないことには積極的にチャレンジして欲しいと思います。出る杭になりたくないという気持ちも分かりますし、出世欲を持てとは言いません。世間体や人目を気にしていたら、自分のやりたいことはなかなか見つけられないと思います。自分のために是非チャレンジしてみて下さい。
人に役に立とうとする人は自分を犠牲にする傾向があると感じています。決して悪い事ではないのですが、他人のために自分を我慢していると辛くなり長続きしません。将来、自分らしく働けるようになるために、自分を肯定的に受け止めて、やりたいことは素直にやりたい、反対にやりたくないことはやりたくないと素直に口にするようにすることはとても大切なことだと思います。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏