Vol.4 株式会社WOWOW

株式会社WOWOW

https://corporate.wowow.co.jp

  • 人事部のビジョン・ミッションを表すキーワード:徹底したこだわりを持った人材採用、チャレンジできる風土づくり
  • 人材育成に関するキーワード:入社6年目までの基本研修と、6、7年目のキャリアデザイン研修
  • 求める人材像に期待するキーワード:他の誰にも負けない自分軸、自分のこだわりややりたいを他人に伝えられる
  • 学生へのメッセージ:何をやりたいのか、どう生きたいのか見つめ、自分が納得いく就職活動にしよう

人事総務局 人事部長 奥野 俊彦 氏

株式会社WOWOWは日本初の民間衛星放送局として誕生、テレビCMなどでもお馴染みの映像番組の制作・放送会社です。今では、衛星放送のみならず、加入者であればいつでも、どこでも番組を楽しめるオンデマンドサービスも提供しています。東京の本社を訪ねて、奥野人事部長に、人事部のビジョン・ミッション、人材育成・求める人材像などについてお伺いしてきました。

□ビジョン・ミッションについて

徹底したこだわりを持ってとことん深掘りする人材を育成・採用すること

エンターテインメントを通じて、人々を幸せにすることが大前提にあるビジョンです。他のテレビ局と違って報道番組は持っていません。あくまでもエンタメ、日本のみならず世界中の一流のエンタメを届けることで、人々に楽しんでいただく、人と人がつながって新しい物を生み出して欲しいと考えています。そういうビジョンを担う人材を、採用し育ててくことが人事部のミッションということになるのでしょう。
そういう人材というのは、一つ何かこれが好きというか、コアになるものを持っています。周りから見て、ちょっと突飛だと思われても、それを貫いてとことん深掘りする強さを持っていて、輝いています。そういう人たちが繋がることで、さらに知識を深めたり、面白いアイデアを生み出したりします。つまり成長の潜在能力が大きいのです。そういう人を採用したいと考えていますし、個人が持っている“好き”の対象はなんでも構いません。突き詰めたいというこだわりが重要です。
昨今、外資の動画配信サービスも台頭していますが、広く一般ウケするコンテンツではなく、アニメオタクやゲームオタクと言われる方でも、そういうユーザーがどういうものを求めているのか知っていることが強みになります。エンタメ業界は、限りなくターゲットを絞ったところに活路があります。絞り込みや突き詰めによって、新しい視点や表現の仕方が求められているのです。

失敗を恐れずどんどんチャレンジできる風土づくり

個々のこだわりでぶつかり合うことも出てきますが、それは一人ひとりの個性だと認めて、良いところを引き上げてやらせてみる。ダメな場合でも、軌道修正をしたり、いいところを伸ばしたりしていくことを意識しています。
WOWOWは創業30年近くになります。元々ベンチャー気質の企業でしたが、縦割りの大企業気質が強くなってきていることに危機感を感じています。これを払拭しようと、どんどんチャレンジしていく社風、失敗してもそのチャレンジを褒め合うような風土にするためにいろいろな取り組みをしているところです。
WOWOWの社員数は、現在300人程度のため、誰がどの部署でどんな仕事をしているのか、社員同士も把握しやすい環境にあります。そして、自分がやりたいと思ったら「やってみたらいい」という雰囲気もあり、あなたの仕事はこれですという限定的なものでもないので、相互に影響しあいながら、新しいチャレンジができる土壌はあると考えています。

弊社はエンターテインメントプラットフォームを目指しています。

我々は単なる放送局ではありません。WOWOWが魅力的な場であればあるほど、この場を通して自分の作品を世に出したいという優秀なクリエイターや強いこだわりを持った人材が集まってくると考えています。そういうユニークな人材が集まってくることで、さらに面白いアイデアが生まれもっと楽しいエンタメを提供できるようになる。そういうエンターテインメントプラットフォームに成長させていきたいと考えています。

□人材育成について

若手社員のキャリア設計をサポートする研修

まずは基本的な研修として、WOWOWの看板をしっかり担える人材として育って欲しいと考えて、入社6年目までを対象とした選択型の必須研修があります。これは、今後、自身が目指したいキャリアや伸ばしたい能力に応じた講座を(指定コースから)自由に選択できるものです。
6、7年目の社員には、1泊2日のキャリアデザイン研修も実施しています。今までの自分の人生(キャリア)を振り返り、これからどういう方向に向かいたいのか、あらためて見つめ直す機会を設けています。入社する時に、こんな番組を手がけたいと思っていても、会社に入ってくるといろいろ面白いことを経験して、あれもこれもと無我夢中で取り組んでいるうちにいつのまにか忘れてしまっていることもあります。ジョブローテーションで部署を異動するうちに、いろいろな経験で興味の方向が変わる場合もあります。本人の視点と周りの視点の両方から自分のキャリアを考え直します。
以上の二つが基本的な研修プログラムですが、他には例えば、コンプライアンスの研修やITリテラシー研修などはその都度実施しています。また、さらに専門的な知識については、部署単位で取り組むような仕組みになっています。

社内の様々な取り組みを全体共有する

その他にも、社内の電子版を通じて、会社の様々な取り組みを社員に伝えることを大切にしています。誰がどんな番組をつくっているのか、どういう想いでどんなことをしているのかを日々、なるべく時をおかずに発信しています。それぞれの社員にとって、今は直接関係がなかったり、すぐに関われなかったりするとしても、ゆくゆく関わる機会があるかもしれないし、社員にとって新しいチャレンジの芽を提供することになるかもしれません。会社の動きを逐次情報共有することで、先述したような社風づくりにもつながると考えています。

□求める人材像について

他の誰にも負けないと思える自分の軸を持っていて、それを伝えられる人

ビジョン、ミッションの話に被りますが、まず、エンターテインメントが好きというのはもちろんですが、とにかく誰にも負けない軸を持っている方と一緒に働きたいです。それは例えば野球やサッカーなどのスポーツでもいいし、アニメや写真でもいいです。その軸があれば、その人の自信にもつながるし、他人を引きつける魅力にもなります。軸、強いこだわり、を持っていて相手に伝えられるか、聞いた相手が面白そうだと思えるかがとても大切です。他の人と一緒になって、人を巻き込みながらでも強引にやりたいという強い想いをもった人を求めています。

学歴、大学や学部も問いません。

1人で黙々とやっていても新しいアイデアは生まれません。自分の蓄えたものを放出して終わりということになってしまいます。スピード感を持って、新しいアイデアを創っていくことが、ますます求められています。大学名など一切見ていません。おかげさまで多くの応募が毎年ありますが、その人の自信、誇り、熱い想いがこちらに伝わってきて、一緒に働きたいなぁと感じさせる方を採用しています。

遠方からの応募に対応するためにWEB面接を使った面接もしました。

従来の選考では、グループディスカッションをするなど実際に来て頂いてお会いすることが前提でしたが、地方や海外在住の応募者は、地理的な理由等から、本選考への参加に思い切れなった学生も例年いらっしゃいました。そういった方には(昨年度より)WEB面接といった形式で一部の選考を実施しました。お会いして話すことは大切ですが、画面を通じて30分ほどお話すればだいたい人柄が掴めます。これを機に遠方からでも、ぜひ応募してもらえると嬉しいですね。

□学生へのエール

就職活動は自分の人生を考えるいい機会です。納得いくまで取り組んでください。

社会人生活は、それまでの人生よりもきっと長いものです。就職活動は会社選びよりも、自分がやりたいこと、どう生きていきたいのかを考えることが大切です。いろいろ調べてみる、人に聞いてみるなど、行動に起こして納得のいくまで取り組んで欲しいと思います。
面倒だと思ったり、周りの友人が内定を先に決めるのを見て焦ったりして、本当にやりたかったことがあるのに就職活動を中途半端に終えてしまうのは、後々、悔いが残ってしまうのではないでしょうか。生活のためというのではなく、人生を楽しむためにこういうことに自分は関わりたいという想いを持って企業の大小に捕らわれずに研究する。今の時代、大企業であっても存続するかどうかは分かりません。会社を興すのも一つの選択肢です。
これまでの人生を振り返り、自分がどういう軸で生きるのか生きていきたいのか、比較的自由に時間を使える学生時代だからこそしっかり向き合ってください。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏