Vol.5 静岡ガス株式会社
静岡ガス株式会社
- 人事部のビジョン・ミッションを表すキーワード:100年以上の歴史ある地域社会への貢献、事業環境の大きな変化への対応
- 人材育成に関するキーワード:成長意欲が高まるタイミングを逃さない、対話力とコーチング、仕事とのマッチング
- 求める人材像に期待するキーワード:自ら考え判断し行動できる人、周りとの信頼関係を大切しながら想いを実現する
- 学生へのメッセージ:目的のない進学よりも就職をしよう、仕事の経験はとても大切、将来の見通しを早めに具体化する
執行役員人事部長 金田 裕孝 氏
静岡ガスは、静岡県の中部・東部エリアを中心にガス事業を展開している会社です。創業は1910年と100年以上の歴史を持ち、地域社会にガス・電気の供給を通じて貢献しています。ガス販売量については業界4位(全206社)を誇り、東南アジアへの事業進出も進めています。今回は、金田人事部長に、会社の魅力、人材育成や求める人材像についてお話を伺いました。
□会社の魅力・ビジョン・ミッションについて
地域に根ざして創業108年の歴史があります。
静岡県の中東部エリアで、都市ガスの販売を中心に事業を展開してきた会社で、地域社会の生活の基盤づくりに貢献してきました。ガスや電気は生活になくてはならない社会インフラであり、担っている責任も大きいです。お客様は個人や法人、家庭用や産業用など幅広く、お客様からの様々なニーズに応え、お役に立つというやりがいと喜びを感じられる会社です。
社員は約1,000人、大きすぎず個人がやりがいを感じながら活躍できます。
大手ですと5000人、1万人を超える企業があります。組織規模が大きくなればなるほど組織の歯車として、この部署でこうしなさいという指示に従う仕事の場面が多くなりがちではないでしょうか。弊社は1000名程度、大きすぎず小さすぎない規模です。社員一人ひとりが自分の存在意義を感じ、やりがいを感じられる規模で、仕事を任せられるチャンスがあります。自らの想いを実現したいという期待に応えたいと考えております。
電力・ガスの自由化など事業環境は大きく変化、海外へも進出しています。
ガス・電力の小売自由化にともない、電力の発電事業や小売事業も手がけ始めました。加えて、原子力発電からの脱却や地球温暖化対策の流れもあり、エネルギー業界の事業環境は大きく変わりつつあります。今後の中長期的な持続的発展のために、グローバル展開としてシンガポールやタイ、インドネシアにも進出しています。つまり、これまでの事業領域を留まることなく新しいチャレンジが求められています。そこに大きなやりがい、仕事の面白みが発見できるでしょう。
□人材育成について
次のステップへの欲求が高まるタイミングを重視して成長支援をしています。
新入社員若手社員に対しては、集合研修や配属先での実務教育、研修センターでの技術・サービス教育などを行っています。特に大切にしているのは、年数を定めて早めにステップアップが図れるようにすることです。具体的には、お客様との接点が増えてきた、道具の使い方を覚えてきたなど、現場での仕事力がついてきたタイミング、言い換えれば、次のステップへのチャレンジ欲求が出てくるタイミングで研修を実施し、社員の成長意欲を後押ししています。
対話力の向上を意識したコーチングの取り組みが特徴的です。
組織力・チーム力を意識してコーチングを用いた取り組みで対話力の向上を図っています。やらされではなく自ら仕事に取り組む姿勢を強化するには、他者との対話が必要で、相手の内面にあるものを引き出すコーチングは有効です。コーチャー役は同僚の場合もあれば上司の場合もあります。対話力の向上は、お互いの成長を促すと考えています。コーチングを受ける側は主体性を育むきっかけになるでしょうし、コーチャーにとってはそれを支援する力が身につきます。現場での日常的なコミュニケーションの中で自然に活かすことのできる基本スキルとして育んでいます。
事業部内で専門性を高めていくのが基本ですが、社員の希望にも応じています。
弊社は事業部制を採っています。社員は各事業部内で専門性を高めていくのが基本で、異動も通常事業部内です。一方で仕事とのマッチングは大切だと考えていますので、希望をとって異動する制度など、社員の意欲を実現できるよう柔軟に対応しています。
□求める人材像について
自ら考え、判断し、行動できる人を求めています。
自律性を重んじます。安定性を志向するというのはよく分かりますし、弊社の文化としてもあります。ただ安定だけを求めてくる方は採用していません。エネルギー業界の事業環境が大きく変化している時代にあって、不安定な中でも自分を律してがんばれる力に期待しています。正しい答え、決まった方法がない場合でも前進して結果を出すには、決められたことをするだけの保守的な姿勢や、自分のやりたいようにするだけの好き勝手ではいけません。
苦しいなかでも、周りの人を上手に巻き込み協力して解決できる力。
頑張っている若手社員を見ると、学生時代に体育会系の部活動あるいはアルバイトやボランティア・趣味等、一つのことを長く続けている人が多いと感じています。つまり、行き詰まった時、苦しい時にでも、周りの人たちを上手に巻き込み協力関係を築くことができるということです。
自分の想いを持ちながらも、周りとの信頼関係を大切にできる人。
会社の事業そのものがお客様との信頼がベースですし、ガス事業は製品の仕入から実際にお客様のところにガスを供給する所まで様々な事業部が連携しています。1人の手腕でどうにかなる仕事ではありません。組織やチームで成果を上げていくには、メンバーの考えやお互いの関係性を大切にしつつ、その中で自分の想いを実現していくというスタンスを大切にして欲しいと考えています。
□学生へのエール
大学院への進学に迷っていたら社会に出よう。
社会に出るのを様々な理由で先延ばして、明確な目的を持たずに大学院に進学する方が少なくないと聞きます。無目的な大学院生活を送るのであれば、社会人として仕事経験を積むことの方が有意義ではないでしょうか。社会人になってから必要性を感じて大学院で学びなおすことも可能ですし、その方が勉強に身が入ります。
インターンシップにも力を入れています。
各回20名程度のインターシップの受け入れをしていて、現場の仕事を経験することや事業に関する企画アイデアをプレゼンするグループワークを実施しています。参加学生には、この業界や仕事について理解を深める機会になっている様子です。仕事世界の現場に早く触れることで、社会に出ることに対して見通しを早めに具体化していく機会です。どんどんチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏